ホーム > トピックス > 改定時に4課長通知別添資料が使われたのは痛手だ

改定時に4課長通知別添資料が使われたのは痛手だ

先月から実施されている柔道整復療養費の料金改定での取り扱いに係る疑義照会資料(平成25年4月24日発出)に、「療養費を請求する上での患者への注意事項」として別紙が添えられている。これは、平成24年3月12日に発出された厚生労働省保険局4課長連名通知の別添3-1の内容そのままで、柔整師の施術を受けられる患者への説明に活用するよう示されていた。書面は、“健康保険等を使えるのはどんなとき?”という項目を挙げ、「骨・筋肉・関節のケガや痛みで、その負傷原因がはっきりしているとき」と回答している。「亜急性の外傷性負傷」を捨て去ってしまっていることにならないか。

過去を振り返れば、保険局医療課が平成23年3月3日に発出された事務連絡の疑義解釈資料(その2)での負傷の原因の記載例が挙げられる。「1.私用で自転車に乗って買い物に行く途中、縁石に乗り上げ転倒して負傷 2.自宅で階段を踏み外し転落して負傷 3.学校でサッカーの部活中、ボールを強くキックしたときに捻り負傷 など」とあり、従来業界側が主張してきた亜急性の論理構成を完全に否定されていることが分かる。

今回の疑義照会資料も業界側が事前に内容を知っていたのであれば、なぜもっと強硬に反論しないのか。これでは、明解な外傷と判断できる負傷原因でなければ、保険請求ができないというお墨付きを行政が保険者に与えることになってしまわないか。現行の医療課長通知上では、支給対象として亜急性の外傷性負傷は認められている。その上、介達外力による負傷も保険適用として差し支えない。養成施設で教科書として使用されている全国柔道整復学校協会監修の「柔道整復学・理論編」で、亜急性とは必ずしも明確な負傷原因がないものでも含まれると解することができる。下記に転記する。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

亜急性(蓄積性あるいは反復性)

反復あるいは持続される力によって、はっきりとした原因が自覚できないにも関わらず損傷が発生する、このなかには、臨床症状が突然発生するものと、徐々に出現してくるものがある。前者は、先に述べた荷重不均衡状態、あるいは静力学的機能不全の状態下で損傷される場合が多く、組織損傷が拡大していくなかで、外力として認知できない場合あるいは軽微な外力で突然発生したかのように機能不全に陥る。後者は、静力学的機能不全の状態であることが多く、症状は次のような経過をたどることがある。

まず疲労感を覚えやすくなる(中略)経過とともに疲労するのが早くなり、また安静によっても容易に回復しなくなることで、それを損傷と認識するようになる。次いで、この疲労状態は疼痛となって現れ、さらに症状が強くなると、局所の腫脹、発赤などが現れたりする。

亜急性損傷は、以下に示すような分類がなされる。

(1)使いすぎOVERUSE (2)使い方の間違いMISUSE (3)負傷後の急な負荷DISUSE

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

厚労省による「負傷原因がはっきりしているとき」と明記された運用は、柔整師にとって壊滅的な打撃を与える取り組みではないか。

鍼灸柔整新聞 平成25年6月10日 第954号「医療は国民のために」より転載

 

 

掲載日/最終更新日 : 2013年6月13日(木)

 

Page top ▲