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柔道整復師 食い違う請求  肩こりで施術 保険適用の「打撲」に

 接骨院や整骨院でマッサージなどを行う柔道整復師の施術について、会計検査院が約900人の患者を

抽出調査したところ、6割以上で患者が申告した症状と、整復師側が医療保険で請求した内容が食い違って

いたことが分かった。

 患者は、保険適用外の肩こりなどを訴えていたのに、請求では適用対象の打撲やねん挫となっていた

ケースが多数確認されたという。検査院は厚生労働省に対し、審査の厳格化や、請求基準を明確に

するよう求める方針だ。

 整復師の施術は骨折、脱臼、ねん挫、打撲、肉離れが保険の適用対象となり、病院と同様、患者に

代わって保険請求することが認められている。厚労省によると、2007年度の国民医療費は前年度比

3・0%増の34兆1360億円だが、うち整復師の療養費(保険請求した施術費用)は、同5・1%増の

3377億円と高い伸び率だった。整復師の養成所が近年増え、05年には約5万人だった整復師の

資格保持者が、09年末には約6万7000人に増加しているのも一因とみられる。

 検査院が市町村などを通じて整復師の施術を受けた904人を対象に聞き取り調査を行ったところ、

うち597人が、整復師の保険請求の内容と、自分の訴えた症状が違うと回答。保険適用外の肩こり

などを訴えて通院していたのに、整復師の保険請求では打撲やねん挫などと記載されていたケースが

多数を占めたという。

 また、検査院が保険請求の多い16道府県で、約2万8000人の患者の保険請求記録を点検した

ところ、施術の部位は1~2か所が一般的なのに、同じ患者への施術が3か所以上とされていたのが

約1万8000人もいたほか、負傷の部位が月によって変わっていた患者が約9000人いた。

 日本柔道整復師会の荻原正和保険部長は「患者の訴えと、施術時の幹部の判断の仕方が異なる

ことや、患者の記憶が違っていることもある。不正請求などが起こらないように、会員には厳しく

指導している」と話している。

  整復師の療養費を巡っては、昨年11月に政府が行った「事業仕分け」でも、同じ患者への多部位の

施術に対する保険請求などについて、仕分け人から「不正請求の疑念はぬぐえない」との意見が出ていた。

厚労省は、昨年6月から、3か所以上の施術では給付率を下げるなど、算定基準を見直すと共に、

9月から患者に対する領収書の発行を義務づけるなどの改善策をとっている。

(2010年10月27日  読売新聞)

 

掲載日/最終更新日 : 2010年11月22日(月)

 

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